【参考書】1億人の英文法 大人も学生も使える文法書
今回は英文法書についてです。
英語の学習をする上で辞書と並んで手元に置いておきたいのが文法書ですよね。
今回は文法書としてはちょっとイレギュラーな1億人の英文法についてまとめます。
著者は大西泰斗先生で、英語学習の世界では非常に有名な方です。
NHKのゴガク番組「しごとの基礎英語」では、講師として出演されています。
大西先生は英語が苦手な人からでも分かりやすい、砕けていながらも論理的な説明が印象的です。
1億人の英文法とは?
1) 話すための文法という視点で書かれている
2) イメージを伝えるための絵が多い
3) 難しい文法用語は特に使われていない
4) 中学生から大人まで読める内容
5) ただし、索引がない(PDF)
話すための文法書
1億人の英文法は話すために特化した文法書で、日本人に最も書けている部分にピッタリな内容です。
大学受験で求められる文法や読解の力をつけるだけでなく、より実践的な「話せる・書ける」といった英語力を付けることを目標として書かれています。
ベネッセ教育総合研究所「中学生の英語学習に関する実態調査 2014」より引用
上は中学1年生から高校3年生までを対象にした「授業でしていること」についてのアンケート結果です。
上の表で80-90%付記で横並びになっているのは、
「■英文を日本語に訳す」
「×単語や英文を読んだり書いたりして覚える」
「◆単語の意味や英文のしくみについて先生の説明を聞く」
「●文法の文題を解く」と、すべて受け身な学習であり、
「▲自分の気持ちや考えを英文で書く」「■自分の気持ちや考えを英文で話す」といったアウトプットは非常に疎かです。
さらに受験になると、アウトプットの要求はより小さくなり、多くの大人が「読めるのに話せない・書けない 」となってしまいます。
文部科学省でもこうした問題を克服するための教育改革がすすめられているそうです。
実際に多くの英語学習者が求めているのは、こうした表現力ですよね。
一方で「受験生には不要」とも思われがちですが、本書ではネイティブ目線での切り口から文法を理解することができるため、丸暗記になることなくしっかりと納得して学習ができますよ。
本書の大きな特徴
1) ネイティブの感覚に基づいた説明
2) 絵を用いて視覚的にイメージを掴む
の2点が挙げられます。
例えば、文型について。
一般的な文法書であれば「SVO, SVOC...、Sは主語で...」といった用語の説明から入りますが、本書では「動詞に着目」した説明がされています。
例えば、
「主語の状況を説明する型」(主語は〜である)では、主に○○動詞が使われます。
その際にいくつかの代表的な動詞が紹介され、実際での使われ方をも学ぶことができます。
相手に何かを与える動詞の「give」であれば、
「giveという動詞のイメージは◯◯です」
といった具合で非常にシンプルです。
その際に、ネイティブ目線のイメージを理解するために、挿絵が用意されています。
形容詞や副詞といった語句は言葉で説明されるよりも、絵を見たほうがすんなり理解できることが多いです。
この絵によりイメージが非常に分かりやすいとして高い評価を受けています。
複雑な表現を一切省き、ネイティブの感覚に基づいて説明されるため、英語が苦手な人も得意な人でも価値ある内容だと思います。
独特な構成
1億人の英文法は文法を調べるための本というより、前から順番に読み進める「読み物」です。
この点が他の文法書と比べても大きな違いです。
本書は頭から順番に説明が積み上げられていくような構成をしているので、途中から読み始めると分かりにくい箇所がでてくると思います。
といっても挿絵が非常に多いので、分厚いですがあっというまに読み進めることができると思います。
「索引がない」というのも読み物として作られているからではないでしょうか?
(ネットで索引が公開されました)
読み進める際には、苦手箇所に蛍光ペンと付箋を貼るのを忘れずに行って下さいね。
見返す際にきっと苦労しますよ(×_×)
大学受験に使用するのであれば、本書を読み込むことで十分ですが、英会話を考えている方には、さらに瞬間英作文がオススメです。
本書からネイティブの考え方を理解したら、次に実際にアウトプットの練習です。口からパッ!と思ったことを発することができるようになるためには、それ専用の訓練が必要です。
(追記)必要に応じて、追加の文法書があっても安心
なぜなら!
内容が若干浅い分野があることや、文法用語が省かれている点が良い点でもあり悪い点でもあるから。
英語を学習する上で、ある程度の文法用語を理解していなければ、自分が調べごとをする際に調べることができなかったり、問題集の解説を理解できなくなってしまいます。
そこまで高いレベルの学習は不要という方は、何度も読み返すだけでも十分です。
もし次の文法書を探す際には、長年愛され続けているフォレストやロイヤル英文法が鉄板でしょう。